決定的瞬間を見てしまった

それは、よく行くショッピングセンターの旅行代理店へ行った時のこと。
結構待ち時間があったので、通路側の平台にあったパンフレットを立ち読みしてました。
その店はエレベーターのすぐ近くで、そこそこ行きかう人もいます。
ヨーロッパで過ごすクリスマス特集を何となく眺めていたところ、ベビーカーを押した母親と３歳ぐらいの少年がエレベーターに向かって行くのが見えました。
少年は、エレベーターをじっと待っていられないようで、旅行パンフレットを取ってみたりしてます。

チーン

エレベーターがやってくると、「行くわよ」と声をかけて母親が乗り込みます。
ですが、少年はパンフレットに夢中です。
「ねぇ、ママ。これ見てー」
振り返った少年の視界には、『ママ』はいませんでした。
そう。気づかずに乗り込んでしまったのです……！
「ママー……。まぁまーっ」
少年はとうとう泣き出してしまいました。
そこに声をかけたのは、やってきたエレベーターから降りてきた50歳ぐらいの奥さまです。
「ママ、乗って行っちゃったの？」
「ままー」
「たぶん、すぐ気づいて折り返してくるから、ここでおばちゃんと待ってよっか？」
「ぐすん、ママー」
おばちゃん、ＧＪ！とか思っていると、エレベーターが折り返して来ました。
……ですが、ママはそこに乗っていません。
「まんまぁ……！」

とまぁ、最終的には通りがかった警備員のお姉さんに引き取られて行った挙句の迷子放送なんですけど。
滅多に見ない迷子発生の瞬間を見てしまいましたとさ。